メンタル不調者を出すリスク
近年はうつ病などの精神障害の労災請求および認定件数は増加傾向にあります。
【厚生労働省 令和2年度「過労死等の労災補償状況」より】
2016年の精神障害の労災補償請求件数は1586件だったのに対して、
2020年度は2051件と465件の増加となり約130%増加しています。
労災認定されたときの会社への影響は5つあります。
1. 被災社員から損害賠償を受ける可能性がある
うつ病の原因がパワハラにあると労災認定された例では、約200万円の損害賠償の命令が出ています。
死亡の原因が過重労働によるものだと認定されたケースだと約8500万円もの損害賠償命令となりました。
2. 会社・会社の責任者が刑事罰を受けることがある
重大な労災事故が発生してしまった場合には、労働安全衛生法の法令違反に問われることがあります。
もし労働安全衛生法違反が認められてしまうと、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられます。
また、従業員が労災事故によって負傷や亡くなった場合は、業務上過失致傷罪あるいは業務上過失致死罪に問われ
5年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられることになります。
3. 行政処分を受ける可能性がある(業種による)
建設業や派遣業など、国の許認可がいる業種では労災事故が発生すると
法令違反で指示処分や営業停止処分などの対象になることがあります。
4. 取引先などの信頼を失う可能性がある
ビジネスは信用信頼で成り立っている側面もあります。
会社のイメージが下がると今後のお付き合いは少し考えさせて下さいと言われる可能性もあります。
5. 入札で指名停止処分を受ける可能性がある
行政の入札に参加している会社は、入札で指名停止処分を受けることがあります。
自治体などの入札では「指名停止措置要綱」を設けられていることが多くあります。
重大な労働災害が発生し「指名停止措置要綱」に抵触した会社には、競争入札の参加資格を停止される可能性があります。
このようなリスクを出来る限り軽減するためにも、メンタル不調者を早期発見しケアすることが重要です。
メンタル不調者の早期発見・予防法3選
1. ストレスチェックの活用
ストレスチェックを実施している会社でも、年に1回の頻度だと思います。
しかし、それでは少ないです。
当然ですが、ストレスの度合いなんて変わります。
仕事が忙しい繁忙期はストレスが溜まりがちですし、暇な時期は比較的ストレスは少なくなります。
ストレスチェックをする時期によってストレスの度合いなんて変わります。
そのため頻度を増やしてストレスの把握をすることが重要です。
理想は3ヵ月に1回ペースの年4回ですが、最低でも年2回は実施しましょう。
また、ストレスの度合いを測るだけではなく、要因まで分析するようにして下さいね。
ストレスが多いか少ないかを知ること以上に、何がストレスの要因になっているのかを分析して
「対策」をすることが、本当の意味でのストレスチェックの価値です。
ストレスチェックをまだ実施していない会社は導入をお勧めします。
助成金も活用できます。
2. 朝礼の活用
メンタルに不調をきたしてくると、服装などの身だしなみに乱れが出てきます。
- 爪がのびている
- スーツがシワシワ
- 髪がボサボサ
- 髭が剃れていない
このように徐々に外見へ現れてきます。
こうした変化を見逃さないように、朝礼で身だしなみのチェックを行うと良いでしょう。
人によっては ”元から身だしなみに気を遣わない” という人もいるので
普段のその人を基準に、乱れてきていないかをチェックしましょう。
服装以外にも、表情や声の調子などもチェックすると良いですね。
3. 1on1の活用
最後3つ目は、1on1の活用です。
昨今、管理職と部下の1on1ミーティングを導入する企業が増えています。
1on1でメンタル不調を発見するには
- 服装や表情、声の様子を観察
- 遅刻や早退、欠勤などの勤怠
- 物忘れやミスについてなど、日頃の仕事ぶり
といったことを振り返ると良いでしょう。
その他にも
- 普段できていたことが雑になっている・出来なくなってきている
- 感情の起伏が激しくなっている、ボーっとしていることが増えた
などもメンタル不調のサインです。
日頃から意識して観察すると良いでしょう。
メンタル対策は、社員を守るだけではなく
会社を守ることにも繋がります。
まだ取り組まれていない会社様は、この機会にぜひスタートしてくださいね。