明日からできる!社員の自主性を引き出す3つのポイント【マネジメント】

多くの経営者やマネージャーは社員の自主性を引き出そうとします。
このこと自体はとても良いことなのですが、「自主性」という言葉に捉われるあまり、陥りがちな罠があります。

今回はそれを踏まえ、社員の自主性を上手く引き出すためのポイントを3つお話します。
特別なスキルは全く必要ないため、意識さえすれば明日使うことができます。


「自主性」の罠

多くの経営者やマネージャーは、チームの空気を悪くしたくない、部下と良い関係を築きたい、部下のやる気を大切にしたいと考え、部下の自主性を尊重します。

もちろん、部下の自主性を尊重することはとても良いことですし、上手くいけば生産性向上にも繋がります。

しかし自主性を尊重するあまり、効率が悪くてもそのまま見守る人も多いです。

「部下が自分で考えた方法だから、そのままやらせてみよう」
「やっている内に効率の悪さに気づいて、自分で改善するだろう」
「まずは最後まで自分でやらせてみよう』

このように、仕事のやり方を全部部下に任せてしまったり、何かあってもとにかく最後までやらせます。

まさにこれが自主性の罠です。
時間を大きくロスしたり、取り返しのつかない事態に発展する恐れがあります。

またこのマネジメントでは、自主性は育ちません。

「やり方を指示するとモチベーションを下げるのではないか?」
「途中で介入すると自主性を奪うのではないか?」

という不安があるのも分かります。
しかしこれは「自主性に任せる」という言葉を利用して放置しているのと同じです。

ではどうすればいいのか?

自主性を引き出す3つのポイント

1. 指示を明確にする

「指示を明確にするのは当たり前だ」
そう思われる方がほとんどだと思いますが、案外これができていない場合が多いです。

ここで、あなたに質問です。
「明確な指示とはどういったことでしょうか?」
これが説明できないと、明確な指示が出来ていない可能性があります。

「指示を明確にする」とは?

要求内容・目的・方法などをはっきりと説明し、伝えることを意味します。
つまり、相手が正確に理解し、適切に行動できるようにすることです。

指示が明確でないと、相手は適切な行動を取ることができず、誤解やミスが生じる可能性があります。
指示を明確にすることは、円滑なコミュニケーションや業務の効率化につながります。

やろうと思えば誰でも出来ることを設定する

よくある指示に「今月は契約を20件とれ!」「経費を15%下げろ!」というものがありますが、これはNGです。

「数値にしてて分かりやすいのになぜ!?」と思われたかもしれませんが、明確な指示ではありません。
適切な行動が示されておらず、ただのノルマになっています。

これを明確な指示に置き換えてみましょう。

●今月は契約を20件とれ!
 ↓
契約数を増やすために、まずはお客様の断り文句を分析したいと思います。
なので毎回の営業終了後に、営業の流れと断り文句をまとめておいて下さい。

●経費を15%下げろ!
 ↓
経費を15%削減します。どこにどんな経費がかかっているかを調べてリストを作って下さい。

このように「何のためにするのか」を明確にし、「1つの指示で1つのするべきこと」を与えるます。

「何のためにするのか」が明確になると、自分の指示されたことの先が想像できます。
先が想像ができると、次のことを考えるきっかけが生まれます。

また「1つの指示で1つのするべきこと」を与えると、何をすれば良いかが明確なため集中しやすくなります。

2. 報連相のルールを設定する

指示を与えた後、そのまま自主性に任せて終了の報告を待つだけでは意味がありません。
適切なタイミングでアドバイスできるように報連相のルールを決めておきましょう。

少なくとも3回は行った方が良いと、私は考えます。

  1. 事前報告
    指示されたことを始める前に、進め方を報告させる

  2. 中間報告
    予め予定していたポイントで報告させる

  3. 結果報告
    最終的な内容を報告させる

報告を受けることによりその人がどんな風に仕事を進めているのかがわかります。そして、アドバイスしたり修正することで、仕事の仕方を教える機会にもなります。

3. 任せて承認する

ポイント3つ目は「任せて承認する」です。
前述した「指示を明確にする」と「報連相のルールを設定する」に反しているのでは?と感じる方もいるでしょう。

しかし、ここまで仕事の仕方については言及していません。
ゴールを設定し、ゴールまでどれくらい進んでいるかを確認しているだけなのです。
仕事のやり方自体は本人の自主性に委ねられています。

ただし適時修正やアドバイスをするため「自主的に出来ていない」と感じさせる恐れはあります。

そこで「ゴールだけを明確に示して、業務の進め方は信じて任せる」ことを行いましょう。
また、アドバイスや修正を行う際には、いきなり否定から入るのではなく「やってきたことをしっかりと承認」してから行いましょう。

この時、マネージャーが自分のやり方に固執してはいけません。
他にもっと良い方法があるかもしれないという目線でいることが重要です。

成功体験を積ませよう

出来ないマネージャーほど自主性という言葉を隠れ蓑にしています。そして

「自分で調べるのが当たり前」
「自分でそれくらい考えろ!」
「そんなことも知らないの?」
「それぐらいできて当然」
「意識が低い」

といった言葉を言います。

このような関りは心理的安全性を損ない、やる気を奪います。
自主性を伸ばすどころか、行動を制限するだけです。

サポート体制があるからこそ、人は自主的に行動を起こします。
親が見てくれているろ、子供が安心して動き回るのと同じです。
部下もリーダーがしっかりと見てくれているから動くのです。

部下には成功体験を積ませましょう。
そして少しずつ指示のハードルを上げていくのです。

仕事の仕方を教えながら、自主性を伸ばしていきましょう。