マスクのトラブルはなぜ起こる? トラブルを起こす方の心理と傾向

2023年3月13日より、マスクの着用が個人の判断に委ねられる様になりました。

それに伴い心配になるのが、マスク着用の有無でトラブルです。
コロナ以降、マスク警察が問題視されていましたが、今度は逆マスク警察の心配がされています。

これまでにマスクの着用を巡って様々な事件が起きていますが、そうした問題が起こるメカニズムを、心理的な視点からお話したいと思います。


マスクを外す・外さない」どちらにも共通する心理

人が行動を起こす理由は、大きく2つあると言われています。

1つ目は「不快回避」です。
これは嫌なことを避けるための行動です。辛い、苦しい、痛い、面倒といったことを避けるために行動します。

マスクを着ける方は
「コロナになりたくない!」「他人から注意や批判をされたくない!」
「メイクや髭を剃るのは面倒だ!」「今更、顔を見られるのは恥ずかしい!」などの
不快を避けようとしていると想像が出来ます。

逆にマスクを外す方は
「マスクをするのが面倒」「息苦しい」「メイクが落ちる」
「会話がし辛い」「健康被害やストレスにつながる」など
不快を避けようとしていると想像が出来ます。

2つ目は「快の追求」です。
これは欲を満たすための行動です。夢や目標を実現したい、楽しい、嬉しい、気持ち良い、安心という感情を得るために行動します。

マスクを外す派は
「マスクを外すことで楽になりたい!」
「思いっきりメイクを楽しみたい!」
「何も気にせずに会話を楽しみたい!」
と思っているでしょうし

マスクを外さない派は
「マスクを着けることで安心できる!」
「化粧代を節約できて嬉しい!」
「顔を隠せるのは楽!」
のように思っていると想像できます。

このように、人は「快の追求」と「不快の回避」の2つの動機で行動をしています。

すると、個人的には夏が1つの節目になるのではないかと考えています。
暑さを避けるor涼しさを求めるの動機は違えど、マスクの着用に大きな影響を与えるのではないかと思っています。
また、こうしたことを観察することで今後のマスク事情が垣間見えてくるのではないかとも思っています。

必要以上に相手を責める心理

2023年2月15日のニュースにて、市営診療所に勤める男性医師が、分限免職処分になったと報じられました。

報道によると、公共施設内で複数の生徒がマスクを外して話していたことに激高。
学校を度々訪れて、大声で校長先生らに「指導が甘い」と怒鳴ったり、机を蹴ったりしたそうです。
また、バットを持って来校したこともあったそうです。

なぜこんなことが起こるのか?
3つの思考の癖から解説していきたいと思います。

1. 原因についての思考の癖

原因についての思考の癖には「原因が自分にある」と考えるか「自分以外の何かにある」と考えるかの2つのパターンがあります。

前者は、コロナに罹った理由を「対策や健康管理が甘かった」や「密の場所に行ったからだ」と自分にあると考えます。
それに対して後者は、「マスクをしない人がいるから」や「自粛せずに外出する人がいるから」と自分以外にあると考えます。

ほとんどの方がどちらの考えも合わせ持っていますのでバランスが大切だと思います。
他人に原因があると考えると取り締まりをしたくなりそうなので、自分を顧みることを心掛けたいですね。

2.自己の影響力についての思考の癖

自分に影響力があると強く思うほど、自分の力で状況を何とかしようと前向きに考えることができるでしょう。
しかし、この考えが行き過ぎることで相手をコントロールしようとします。

逆に、自分には影響力がないと思うと相手をコントロールしようとは考えず、言うだけ無駄と諦めたり、他人事として捉えることで、無気力になりがちです。

これも相手や状況によってどちらの考えも私たちは持っています。
だからこそ、冷静に状況を観察し、適切な対応かどうかを判断することが大切だと思います。

3.リスクの捉え方についての癖

コロナのリスクを大きいと捉えるか小さいと捉えるかで行動は異なります。

リスクを小さく捉える方は、自分はコロナに罹らないとか罹ったとしても重症化しないと根拠のない自信を持っていがちです。
若いから・鍛えているから・今まで病気をしたことがないからなど、都合の良いデータを見ているのでリスクを小さく見積もります。
結果、感染対策が甘くなる傾向があると考えられます。リスクを大きく捉える方は「私は絶対に感染する方だ!」「感染すると重症化するタイプだから」とこちらも感染することに根拠のない自信を持っています。
感染者に向けられる他人の目や重症化、後遺症、死亡リスクなど不安や恐怖を煽るデータを見ているので、リスクを大きく見積もります。そ
のため、厳しく対策することが考えられますし、他人にもそれを求めることが想像できます。

まとめ

ここまで思考の癖を3つ見てきましたが、私たちはどのパターンも持っています。
だからこそ、自分の癖を自覚してトラブルにならぬように意識することが必要だと思います。

おそらく冒頭のお医者様も、こうした思考の癖に陥ってしまったのでしょう。
相手が中学生だったため影響力を発揮できると無意識に思ってしまった。
そして、医療に携わる者としてリスクの大きさを痛感していることと日々の努力が責任を他人に求めさせた。
答えはわかりませんが、こんな風に思考が働いてしまったのではないかと想像します。

こうした思考はマスクの問題に限らず、私たちの日常で起こることです。
だからこそ、自分の癖を知ることや他人の意見にも耳を傾けて色んな考え方を知ることって本当に大切だなと改めて思いました。