「人が育たない組織」に共通する1つの特徴&人を育てる仕事の与え方5選

人材育成のスピードが遅い組織には『ひとつの共通した特徴』があります。

人事制度や評価制度をいくら変えても人が育たない… その悩みを解決するヒントをお伝えします。また『人を育てる仕事の与え方』も解説します。


人が育たない組織に共通する「たった1つの特徴」

人材育成は企業の成長に不可欠です。
そのため、多くの企業が研修や人事制度、評価制度の見直しといった取り組みを行っています。
しかし、それにもかかわらず「人が育たない!」と嘆く経営者が多くいます。

優れた経営者は、働き方改革や健康経営などに早くから取り組み、ワークライフバランスを実現し、部下のエンゲージメントを高め、ホワイト企業化に努力しています。
それなのに、部下の育成がうまくいかない理由は何でしょうか?

それは、部下に「仕事を与えていない」ということです。

昔の「ブラック企業」時代の方が、何かを教え、育成するのに適していたかもしれません。
実は、これには一理があります。

ビジネスにおける人の成長は、仕事の量と仕事の質の組み合わせが大切だからです。
特に新入社員にとっては、量が肝要です。

なぜなら、多くの仕事をこなせば、多くの経験が得られるからです。

営業会社ではよく見られる光景ですが、できない社員ほど、丁寧に見える仕事に時間を費やし、量をこなそうとしません。
一方、成果を出す社員は、積極的に行動し、その結果から学び、次に生かす人です。

新入社員だけでなく、社員全体を真剣に育てたいのであれば、とにかく仕事の量を増やすことが大切です。
これが善し悪しではなく、成長の観点から見ると、ホワイト企業よりもブラック企業の方が優れているかもしれません。

ただし、無計画に仕事を与えるのではなく、その方法を考える必要があります。
そうでないと、ブラック企業になってしまい、優れた社員が離職するという新たな問題が生じてしまいます。
重要なのは、Z世代の特性を理解し、それに合わせた仕事の与え方をすることです。
また、経験を言葉で共有し、質を向上させるための方法を考えることも大切です。

人を育てる仕事の与え方

それでは、ここからは「人を育てる仕事の与え方」について、Z世代の特性と心理学的な成長の観点から解説します。

「能力以上の仕事」を与える

最初のポイントは「能力以上の仕事を任せる」ことです。
この能力以上の仕事には、難易度と収容能力(キャパシティ)の2つの側面があります。

仕事の難易度
心理学の目標設定理論によれば、高難易度の目標を設定すると、モチベーションが高まり、高い成果が得られるとされています。
もちろん、突然難しい仕事を投げかけるのは避けるべきですが、現在のスキルよりも1または2つ上の難易度の仕事を積極的に委任してみましょう。
この際、成長を期待していることを伝えるのがポイントです。なぜなら、他人からの期待が成長を促す「ピグマリオン効果」を発揮させるからです。

キャパシティ
部下には、自身が限界ギリギリでこなせる量の仕事を任せてみましょう。
初めは多すぎて圧倒されるかもしれませんが、仕事の優先順位や効率的な進め方を指導することで、徐々に慣れていくでしょう。
こうして能力以上の仕事を与えることで、部下のスキルが向上する道が開けます。

Z世代は成長の機会を求めています。そのため、成長の機会が限られているとモチベーションが低下し、離職の原因になります。
そのような状況を回避し、成長を促すために、一定の裁量権を与えつつ、能力以上の仕事に挑戦させましょう。

失敗を歓迎する

絶対に失敗しない人は誰か? それは挑戦しない人です。新たな挑戦に失敗は付きものであり、成長に失敗は欠かせないものなのです。

しかし、誰もがそうですが、失敗はしたくありません。特にZ世代は他人の評価を気にする傾向が強く、失敗することを極端に嫌うそうです。

そのため、失敗を許すマインドと放置する勇気を持って、仕事を与えることが大切です。

こうしたことを踏まえると、失敗を歓迎する文化を作り、成長できる環境を整備することはとても重要だと思います。

失敗を歓迎する文化を作るコツは、挑戦を承認することと失敗を咎めないこと、そして、そこから何を学んだのかを明確にすることと、それがみんなへの貢献になることを伝えることです。

サポートの充実

失敗できる環境を作ったとしても、やっぱり失敗したくないのが人情です。

特にZ世代はその傾向が強いため、どんなに失敗してもいいよと言っても二の足を踏むことは想像に容易いです。
だからこそ、サポート体制を充実させ、失敗しないように支えることが大切です。

ただし、援助ではなく支援にしてください。援助は全面的に支えることですが、支援は一部を支えることです。
出来るだけ自力でやってもらい、どうしてもという時だけサポートするようにしてください。
可能なら、事前にコーチングを学び、サポートの仕方を身につけていただいておくと尚良いです。

失敗を失敗と感じさせないように、チャレンジを認め、労い、次につながるように寄り添えると良いですね。

能力やモチベーションに左右されないようにする

人材育成において、一番やってはいけないことは能力やモチベーションに頼ることです。
これだと育成ではなく、勝手に育っただけです。

「部下の能力が無い」とか「管理職のマネジメントが悪いから」と愚痴が出そうになりますが、そもそも中小企業に優秀な人材はきません。そのため、自社で育てることが大切です。

人を育てるには仕組みと計画が必要です。人を育てる仕組みは採用の段階から始まっています。
(採用に関しましてはこちらで解説しています)

一貫性のある教育制度を作るにはまず、企業理念とビジョンを明確にし、その上で、求める人材を決めます。
次に、いつまでにどんな人材に成長させるのかという計画を立て、そこから逆算しながら年間の計画を立てていきます。
こうすることで必要な研修や時期がクリアになります。

また、みんなが同じ速度で成長する訳ではありませんので、リスキリングできる環境と1on1などのサポートも整備が必要です。

先行きが不透明な時代だからこそ、Z世代は安定を求めています。
そして、何があっても大丈夫なように自己成長することを考えています。

こうしたZ世代の考えを踏まえると、一貫した教育の仕組みを持つことは人材育成だけではなく、採用や定着にもつながります。
そのため、人材育成や生産性向上を本気で考えるなら、教育の仕組みを考えましょう。

必ず評価をする

行動に対する評価を行うことはモチベーションや成長に大きく影響します。
何が出来ていて、何が出来ていないのかをしっかりと評価することにより、次回以降、何をすれば良いかが明確になります。

評価を行うときは、出来るだけ早く行うのがコツです。

また、改善点を良いことで挟んで伝えましょう。これをコーチング用語でサンドイッチフィードバックといいます。
「出来ていること」→「改善点」→「総評として承認する」の順で伝えると、改善点を受け入れてもらいやすくなります。

そしてもう一つ、大切なことがあります。それは、人事制度や評価制度の見直しをすることです。
仕事を適切に評価する仕組みが無いと頑張り甲斐がありません。

そもそも人事評価制度とは社員の生産性向上を図るための管理制度です。
適切な基準で評価し、昇給や昇格、報酬に反映させることで成長を促します。
こうすることで、1人ひとりの生産性を向上させる役割があります。

人事制度や評価制度が曖昧だと生産性アップどころか低下させます。安定して人を育てるためには再現性のある仕組みの構築が大切です。