ブラック企業は離職を減らすために、あらゆることをしています。
今回は「ブラック企業なのに、なぜか離職率が低い会社の特徴5選」を解説。ブラック企業の人材定着の手法がわかります。
また私の経験を元にした「営業会社あるある」もご紹介します。
ブラック企業は離職を減らすために、あらゆることをしています。
今回は「ブラック企業なのに、なぜか離職率が低い会社の特徴5選」を解説。ブラック企業の人材定着の手法がわかります。
また私の経験を元にした「営業会社あるある」もご紹介します。
前回、不正が横行する企業の特徴でも話しましたが、過度に数字に厳しいと、ブラックな環境になりがちです。
以前、私がいた営業会社はダークグレーでしたが、そこの社長の口癖は、「数字は嘘をつかない」で、本当に数字に厳しかったです。
それを物語るエピソードを1つ話しますね。夜10時頃に帰る準備をしていたら、西前、今日時点でいくら足らんの?と営業部長が声をかけてきたんです。
私が「すいません、10万円くらい」ですと答えたところ、1円単位で答えろや!「くらい」とか杜撰なこと言ってるから未達なんやろ!と激詰めされました。
ブラックな会社では詰めることが日常化していて、それが普通だと感じてしまうほどです。
詰め方は様々あり、先程のように、1円単位で答えろや!と吠えるのもそうですが、笑顔で詰めてくる場合もあります。
これはさっきの部長とは別の人ですが、「西前、そろそろ本気出してくれよ」と笑顔で話し掛けてくるんです。
私が「本気でやっていますよ」と答えると「本気でやってこれっぽちしか結果だせないなら期待しても無駄だな」と言われ、慌てて「これから本気でやります」と言うと「なんで今まで本気やってないの?」と…
もう何を言ってもダメな状態で、とにかくここから挽回するしかありませんでした。笑顔なだけにマジで怖かったです。
「終わってないのに帰るの?」「達成してないのに帰るの?」
こんなプレッシャーをかけることで、帰り辛くしたり休み辛くします。
しかも、残業代や休日手当は出ません。なぜなら、責任を感じて自ら残業しているという形にされるからです。
酷い会社なら、タイムカードを改ざんされることもあります。また、休日に会議をする会社があります。もちろん、給料は出ません。
有給休暇については、それ何?美味しいの?状態で、誰も申請することはありません。
多くの方が退職を願い出るのですが、ブラックな会社は退職を受け入れてくれません。
さんざん使えないと罵倒していたにもかかわらず、高い食事に連れて行ったり、給料アップを言い出すなど、必死に引き留めてきます。そのため辞めたいのに辞められない状態が続きます。
結果、ある日突然会社に来なくなります。これがブラック企業で有名な「飛ぶ」ってやつですね。過去に営業車で飛んだ人がいましたが、GPS機能でスグに発見されました。
当然と言えば当然ですが、それがわからなくなるくらい追い詰められていたのでしょうね。
未達や遅刻、当日欠勤などで罰金を払わされたり、上司の誕生日は出し物をしなければいけないなど、会社独自の謎ルールがあります。
私がいた営業会社では、最初の内は罰金でしたが、時代の流れでこれが違法だという風潮が強まると、罰ゲームに変わっていきました。
罰ゲームも最初の頃は、シャリがワサビのお寿司や中身が辛子のシュークリームを食べさせられましたが、時代の変化と共に、1階から最上階まで階段を往復や、社訓を100回唱和などに変わっていきました。
以上、5つのあるあるをご紹介しましたが、この5つをしていても離職率が低い会社があります。
そのため、離職率が低いからと言ってホワイトだとは言えないのです。
ここからはブラックなのに離職が少ない会社の特徴をご紹介します。
ブラック企業は離職を減らすためにあらゆることをしています。
その中から厳選して5つ、離職の少ないブラック企業がしていることをご紹介します。
ブラック企業は最初が肝心とばかりに、みっちりと研修を行います。
研修では、仲間意識を植え付け、会社の考えに染めていくことが目的です。このこと自体は悪くありませんが、徹底的に行うことで自社のカラーに染めようとするのが怖い所です。
自社色に染めるために、合宿形式で、ある意味監禁状態にし、体力も思考力も奪う様な研修を行っている会社もあります。
これを乗り切ることで戦友になり、これからの苦楽を共に出来るようにされていくのです。
ブラック企業は仲間意識を植え付けるために、盛り上がるイベントをたくさん用意しています。
人間関係が濃くなると離れたくないと思うのが人情です。
仲の良い友達がいると転校したくないと思うのと同じで、仲間を作ることで転職をしにくくするのです。
そのために、忘年会や新年会だけではなく、士気を高めるための飲み会を開いたり、毎週○曜日はサークル活動の日にしたり、役職者の誕生日に出し物を用意したり、季節ごとに何かを企画するなど、とにかく仲間意識を持たせます。
こうすることで一体感を醸し出し、辞めることでみんなに迷惑をかけたくないと思わせます。
意外と感じるかも知れませんが、ブラックなのに正当な評価をする会社は案外多くあります。
というのも、ブラックな会社は利益を重視する傾向が強いため、結果を出す人を評価します。
そのため、やった人は正当に評価されがちです。毎月の表彰だけではなく、半期や1年を通じても評価をし、その都度、賞金やプレゼントを与えます。しかも、ただ評価するだけではなく、セレモニー的に盛り上げて評価します。
野球のMVPがスポットライトを浴びて賞金と車の鍵を貰うように、見ている者が、来年はああなりたいと思う様な演出をします。
結果が正義なので、結果を出せば自由が与えられます。
結果を出していると早く帰ろうが、遅刻しようがお咎めはありません。
そのため、結果を出す人からするとこんな楽な職場はないのです。
どんなにブラックであろうと自分には関係ないことですからね。
離職の少ないブラック会社は、めちゃくちゃ情に熱いです。
結果を出さない人に対してただ厳しくするだけではなく、フォローをしっかりします。
個別に飲みに誘ったり、相談に乗ったり、誕生日におめでとうメールをするなど、ちゃんと気に掛けるので辞めにくくなります。
しかも、ウチで通用しない奴は他で通用しないと言われ続けているので、まずはここで頑張るしかないと思ってしまいます。
離職の少ないブラック会社がしていることを5つご紹介しました。
こうしたことを行うことで、ブラックにもかかわらず離職を抑えているのです。
数字に厳しく、理不尽に詰められても正しい評価があるため、自分が悪いと思い込まされます。
これにより、長時間労働や休日出勤も受け入れなければいけなくなります。
成績も悪いし、長時間労働も嫌だから辞めようかと思っても、仲間意識がそれにブレーキをかけます。
しかも、普段は厳しい上司が情に熱く優しく引き留めてくれたら「もう少し頑張ろう」「結果さえ出せばいいんだから」と思ってしまいます。
つまり、言い方は悪くなりますが、ブラックな会社は離職を減らすために「洗脳」をしているのです。
とはいえ、紹介した手法はいずれも悪いこととは言い切れません。
怖いのは、ブラックさを消すために離職を減らす目的で意図的にこうしたことが行われることです。
その職場にいることを自分で決めているなら問題はないですが、そうでないのであれば、こうした手法があることを知り、自己防衛をしっかりと行うことが大切です。
また、この動画をご覧の経営者は、こうした手法で社員を定着させるのではなく、理念に共感する仲間を採用し、1人ひとりに合わせた教育のもと、エンゲージメントを高めることで、人材の定着を図って欲しいと願っています。