社員の残業削減ができる心理テクニック【生産性向上】

残業・休日出勤をさせるデメリット

まずはじめに、残業や休日出勤をさせるデメリットについて解説します。
厚生労働省の調査では「仕事や職業生活にて、強い不安やストレスとなっている」と感じている労働者の割合は53.3%と報告されています。

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【厚生労働省 令和3年度「労働安全衛生調査(実態調査)」より】


これは2人に1人が強いストレスを抱えている状態です。

そのストレスの要因としてトップにあるのが「仕事の量」です。
多くの人が「仕事の量が多くて強いストレスを感じている」のですね。

ストレスで生産性は大きく下がります。
「少しくらいストレスで生産性が下がるのは仕方ないな」と思うかも知れませんが、実は目に見えない損失を出しています。

社員20名の会社だと、半分の方がストレスを抱えているとした場合、年間500万円もの損をしている計算となります。
(こちらは別のコラムで詳しくお話しています)

潮位時間働けば人件費がかかるのに、それによって生産性まで落ちているなんて、もったいないですよね。

もう昭和の時代と違って、モーレツに働くことはNGです。

これはスポーツの世界をみると分かりやすいですが、昔は「水飲むな」とか「とにかく走れ!」とか、気合根性で長時間練習をしていました。

ですが今はそうじゃないですよね。
練習の時間も短くなっていますし、それで結果が出ることもある程度証明されています。

この考え方はスポーツだけではなくビジネスでも一緒です。
疲れてくると集中力もヤル気も下がりますし、それにともなってミスも増えますから良いことなんてありません。

ちなみに、実際に働く時間を短くすることで生産性をアップさせている事例も出始めています。

例えば、2022年4月にカナダで開かれたTED2022※では
「週4日勤務にしたところかつてないほど生産性が上がった」
と、経済学者のジュリエット・ショアさんが報告しています。

※TED=世界中の著名人によるさまざまな講演会を開催・配信している非営利団体

働く日が1日減るので最初の内は苦戦をしたようですが、
半年ほど経つと社員は「とても幸せ」になり、売上は増加。
顧客満足度も「抜群」になったとも言っています。

この週4日勤務をする企業側のメリットとして、まず社員が疲弊しないためフレッシュに仕事に向き合えることが挙げられます。
フレッシュに向き合えるとモチベーションや集中力も高く保てます。

結果、生産性向上に繋がっていきます。

また社員としても、自分が能力を発揮しやすい環境を与えてられているため、帰属意識が高まります。
その結果、離職率が低下していきます。

更に、この文化が根付き「社員を大切にする会社」だと認知されるようになれば、採用が楽になります。

いきなり週4日勤務にするのは難しいと思いますので、
まずは残業や休日出勤を出来るだけ減らせるようにしていきましょう。

しかし、口で言うほど簡単ではありません。

そこで次項です。
残業や休日出勤を減らす心理テクニックを3つお話します。

業務を可視化するとか、DX化するといったことではなく、メンタル的な取り組みです。

残業・休日出勤を削減する心理テクニック

1. 社員側のメリットを提示

残業・休日出勤の削減や禁止は、ただ周知するだけでは意味がありません。
残業や休日出勤しないメリットを作りましょう。

人間は自由が奪われると反発したくなるという心理が働きます。
そのため、強制や命令は素直に聞きづらいです。

「残業や休日出勤の禁止は社員にとっていいこといことじゃないか」と思うのは当然ですが、
逆の見方をすると残業や休日出勤する自由を奪われたともとれます。

なので「自由を奪った」のではなく、あなたにとって「より得をすることをしているんだよ」という周知の仕方が大事です。

例えば「今年1年間、残業や休日出勤をしっかり減らして生産性が上がったら、その分はしっかり給料に反映させますよ」と宣言をすることで、
働く時間が減るのに給料は増えるという約束をします。

2. 申請制にする

残業や休日出勤する場合は申請を必要にするなどして、簡単に残業や休日出勤が出来ないようにします。
すると、申請するのは面倒なので、なんとか時間内で終わらせるように集中しようという気持ちが起きやすくなります。

コツは申請にめちゃくちゃ手間かかるようにすることです。

なんで残業が必要なの?と何度も聞くとか
休日出勤するのに書類をたくさん書かなければいけないとか
とにかく面倒にすることをお勧めします。

人は面倒を嫌います。
頭ではやった方が良いと十分に分かっていることでも、この面倒が邪魔をして行動に繋がらないことが多々あります。
この習性を利用するのです。

3. 会議・ミーティングの時間を減らす

時間内に仕事を終わらせたいのに、それを邪魔する要因があるとやる気が下がります。
すると時間内に仕事が終わらないことを正当化し始めます。こうなると、どんどん状況は悪化していきます。

そうならないためには会議やミーティングの時間を出来る限り短くしましょう。
短くする方法はまた別のコラムでお話していますので、そちらをご覧ください。

最後に

まずは会社が残業を「本気でなくす」という姿勢を見せること。
そして、残業が減れば社員が得をするということ。
この2つがあることで、抵抗する気持ちは和らぎます。

今ある戦力で生産性を上げることが出来れば、余計な設備投資や人材確保をする必要もなくなるため、会社にとっては大きなメリットです。
最初は少し怖いかも知れませんが、どうせ残業や休日出勤についての法律もどんどん厳しくなっていくのでしょうから、今から取り組んでおいて損はないと思います。

さて次回は、心理的安全性に沿ったリーダーシップについてお話いたします。