離職防止は入社1年目の社員教育がポイント!Z世代・新卒の仕事に関する意識・価値観を踏まえた新人教育法を解説

今時の新人社員はすぐ辞める… その理由はZ世代特有のキャリア観にあります。

仕事や働き方に対する考え方・価値観は 、世代によって大きく異なります。今回は若手の早期退職を防ぐ「モテキ教育」と「3つのション」について解説します。


Z世代が持つキャリアへの意識

私たちの価値観は技術の進歩や社会情勢により変化していきます。
その価値観の違いが世代ごとに団塊世代やバブル世代、ゆとり世代のように表現されます。

Z世代の明確な定義はありませんが、1990年代後半~2010年頃に生まれた世代を指すことが一般的です。
この動画を撮っている2023年だと、13歳~28歳くらいの方が該当します。

では、Z世代は仕事についてどのように考えているか?
若い世代では「成長実感」と「貢献」が大きなキーワードになっています。

このこと示すデータを見てみましょう。
こちらはリクルートが発行している「就職白書2021」です。

就職先決定の決め手について「自らの成長が期待できる」が全ての項目で1番多い回答となっています。

もう一つデータをご紹介します。こちらは、リクルートマネジメントソリューションズが行った調査です。

就職先の決め手について「成長」と「貢献」が1位と2位を占めています。

Z世代は「助け合う風土」や「失敗を気にせずにチャレンジ出来る雰囲気」「考えや価値観を押し付けずにお互いを尊重できること」を求めています。

ここに「タイパ」を加えて考えると「時間を掛けることなく成長できる仕組みを構築すること」が今の企業に求められていることではないかと考えます。

このことを踏まえ、ここからは「離職を防ぐ教育の仕方」について解説していきます。

「モテキ教育」と「3つのション」

モテキ教育とは

「モテキ教育」とは、目標教育・手順教育・基礎教育の頭文字をとったものです。
この3つが揃うことで教育は劇的に変わります。

目標教育=ゴール

この仕事のゴールはどこか?
どうなれば仕事が完了したか?
いつまでに終えればいいか?

こうしたことを教えるのが目標教育です。

また「1か月後にはここまで出来るようになろう」「半年後にはこうなろうね」という成長スケジュールを組むのも目標教育に入ります。

手順計画=やり方

次に手順教育ですが「この目標をクリアするにはどうすればいいか?」といった実務の手順や考え方を教えます。

やり方を細分化してマニュアルを作り、小学生でもわかるようにしておくことが重要です。

基礎教育=理由

なぜこのゴールを目指すのか?
なぜこのやり方をするのか?
なぜそこまでするのか?

といった理由を教えることが基礎教育です。

これら3つの教育を行う時には、前回お話したエルダーやメンターの制度を活用します。

教育担当は、去年入社した先輩社員や、直近の入社社員が良いでしょう。新人の立場に近く1番気持ちを理解することが出来るからです。

また教育する立場になることで、担当者自身の理解を深めるチャンスにもなります。
新人の教育プランを彼らに作らせることも1つのアイデアです。新人が人材育成のプランを作ることで時代に合わせたものにアップデートすることが出来ますからね。

もちろん、全てを任せる訳ではなくプランを作成してもらい、入社3年目や5年目の方と一緒に創り上げていくことが出来れば良いと思います。

コツとしては、多くの成功体験と少しの挫折体験を積ませることです。

成功体験を重ねることで成長と貢献を実感でき、挫折体験で得た不足感が次へのモチベーションになります。
イメージとしては、成功体験5に対して挫折が1くらいです。成功体験を吹き飛ばすような重い挫折はさせないようにしましょう。

ここまで3つの教育をご紹介しました。これらをしっかり行うことで成長速度をアップさせます。また「モテキ教育」の名前通り、社員からモテる会社になります。つまり「この会社にいたい」と思わせることが出来るのです。

このモテキ教育の中核を成すのが「基礎教育」です。
何のために? という理由の教育は、突き詰めていくと会社の存在理由につながるからです。

近年パーパスが注目されているように、目的を明確にすることはとても重要です。

さてここからは、パーパスを社内に浸透させる「3つのション」について解説します。

パーパスを浸透させる「3つのション」

「3つのション」とはミッション・ビジョン・パッションです。

ミッション

ミッションとは経営理念に掲げられた企業が果たすべき使命や役割のことです。
トマトジュースで有名なカゴメは野菜の力で健康寿命の延伸に貢献することが使命だと述べています。そのため、長期的なビジョンとしてトマトの会社から野菜の会社になることを目指しています。

リクルートはまだ、ここにない、出会いより速く、シンプルに、もっと近くにを使命に掲げています。
この使命に沿って、人材紹介だけでなく飲食店、美容院、歯医者、住宅、旅行など手広く出会いを提供しています。

また、使命と言うとリッツカールトンのクレドが浮かびます。リッツカールトンの創業者が成功の秘訣を訊かれた際に「クレド」と答えるほど大切にしていたことがエピソードとして残っています。

この使命があるからこそこんな未来にしたいというビジョンが生まれます。

ビジョン

ビジョンはゴールとも言い換えれます。
ゴールを決めることの利点は逆算が出来るようになることです。逆算によって、今、何をすべきかが自ずと決まってきます。

しかし、するべきことがわかっていても上手くいくとは限りません。そこでパッション!が必要です。

パッション

バッションは情熱。何としても使命を貫き、ビジョンを描こうとする気持ちです。

この熱い想いを胸に使命感を持ち、描く未来を語り、共感を得ることで従業員が定着していくのです。

これは次回の採用にもつながることです。人は利得だけではなく想いに共感して行動を起こします。

「感動」という字は「感じ」て「動く」と書くように、心を動かすからこそ人は動きます。同じ想いを持つチームにすることが大切なのです。

万が一、育てた彼らが辞めたとしても、「〇〇から転職してきた人は優秀だね」と言われるくらい気概を持ってみっちり教育しましょう。その姿勢が企業価値を高めてくれることと思います。